五大尊図
五大尊図
長さ129センチメートル、幅71.5センチメートル。
絹本着色。
箱書に「寛保元年辛酉九月廿八日 不動院法印眞恭建立之」とあり、紙片に「証 月岡酒造の丞、青木吉右衛門、唐澤直七、右御嶽普寛信心講社へ譲渡之 明治弐年五月日」と墨書されている。
※寛保元年辛酉(西暦1741年)
五大明王図とも称し、中央に不動明王、右下(東)に降三世(ごうざんぜ)明王、左下(南)に軍茶利(ぐんだり)明王、左上(西)に大威徳明王、右上(北)に金剛夜叉明王を極彩色で描き筆意も秀れている。
沼田藩主土岐頼稔(よりとし)が京都所司代のおり朝廷から下賜されたといわれており、江戸初期の作と推定される。
沼田城内に建てられた土岐家の祈願寺、真言宗不動院の什物であったが、廃藩の際に民間人の手に移った。
「五大尊図」に描かれた五大明王とは?
中央
不動明王(明王の代表)
不動明王は、大日如来の教命に従わない人々を調伏・救済するため、怒りの相を表した明王である。その中でもっとも威力がある代表仏が不動明王で、右手に剣、左手に羂索(縄)を持つ。
右下(東)
降三世明王(煩悩を降伏する明王)
不動明王に次ぐ格の明王で、三面八臂(※)。目が三つで、胸の前で手を交差させる。足で大自在天(シヴァ神)とその妃、烏摩(ウマ)を踏んでいる。
左下(南)
軍荼利明王(障がいを取り除く明王)
一面三目八臂。中心の腕は胸の前で交差し、「大瞋印」の印相(手の形)を結ぶ。体にまとわりつく蛇が特徴。
左上(西)
大威徳明王(戦勝祈願の明王)
水牛にまたがり、六面六臂六足。六つの顔にはそれぞれ三つの目があり、正面の胸の前で「壇陀印」の印相を結ぶ。
右上(北)
金剛夜叉明王(金剛杵で悪を打ち砕く明王)
三面六臂。正面の顔には5つの目があり、他の顔にも3つの目がある。金剛杵(杵形の密教法具)や金剛鈴などを持つ。
※三面八臂
三つの顔(面)と八本の腕(臂)を持っていること。
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