施政方針(令和5年3月)
《はじめに》
昨年の5月に市民の皆様方の多大なるご支援をいただき市長に就任し、早くも10カ月が経とうとしております。
この間、私は、自身の市政執行の基本理念である「市民が主役・対話の市政」により「持続可能な沼田市」を目指し、市民の幸せのため、市民と向き合い、市民と行政が一体となり行政運営を進めてまいりました。次世代のため、市民の未来のため、市民の誰もが幸せと思える沼田市を目指し、責任ある政策を進めていくことをお約束してまいりました。
昨年は、長引くコロナ禍にウクライナ情勢などによる原油価格や物価の高騰が重なり、市民生活や経済活動におきましても大変厳しい状況となっております。
新型コロナウイルス感染症は、法律上の位置づけを今年の5月には「季節性インフルエンザ」などと同じ5類感染症に位置づけることが決まり、コロナ対策の様々な見直しが進んでおります。
本市では、いち早く「ウィズコロナ」を掲げ、コロナと共存する施策として、接触機会減少に伴う感染リスクの軽減を図りながら、市内経済を下支えし活性化を促す電子地域通貨「tengoo(てんぐー)」の積極的導入、事業主や子育て世代などを支援する給付金の支給などに取り組んできたところであります。
また、本年は、中学3年生の給食費無償化や帯状疱疹ワクチン接種、福祉医療費の高校卒業までの拡充をはじめ、企業誘致に向けた横塚工場適地発掘調査事業、DX推進としてサテライトオフィス等誘致事業などの新設、地域経済の循環を創る電子地域通貨事業に取り組むとともに、地域主体のまちづくりを進める地域自治推進事業や浄水施設改良事業などの優先事業、子育て世帯への支援、市民の健康や地域経済、市民協働などに係る事業についても、十分配意したところであります。
令和5年度においても、「こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまち」の実現に努めるとともに、「課題解決と未来への投資~未来につなぐ持続可能なまちづくり~」を念頭に、対策事業の充実を図ってまいりたいと考えております。
《国、県の状況》
さて、令和5年度の国の予算は、昨年12月23日に閣議決定され、今国会で審議中であります。国はその予算編成の基本方針において、我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による強い下押し圧力を受けながらも、持ち直しの動きを続けてきたとしており、その上で、新しい資本主義に向けたグランドデザインと実行計画を前に進めるための総合的な方策を早急に実行し、人への投資、デジタル、グリーンなど、社会課題の解決を経済成長のエンジンとする持続可能な成長に向けた基盤を構築していくとしております。
また、予算編成に当たっては、景気の下振れリスクにしっかり対応し、民需中心の景気回復を着実に実現することで成長の配分と好循環に向けた動きを確かものとして、経済・財政一体改革を推進するとしております。歳出については、その中身をより結果につながる効果的なものとするよう、証拠に基づく政策立案や効果的・効率的な支出を徹底するとしております。
群馬県においては、「ポストコロナ新時代創生予算」と銘打ち、「Well−being を高める」、「未来への投資」、「財政の健全性の確保」の3つを重点施策に掲げ、総額8,197億円、対前年度比0.1パーセント増の一般会計当初予算案を議会へ提示したところであります。
《予算の基本方針》
現在、国の基本方針でも示されました新しい資本主義の施策を推進するため、総合的な方策を早急に実行し、人への投資、デジタル、グリーンなど、社会課題の解決を経済成長のエンジンとする持続可能な成長に向けた基盤を構築していくとしております。こうしたことを踏まえ、本市の令和5年度予算編成に当たりましては、引き続き感染症への対応を行いながら、今後の円滑な市民生活を実現するため、「課題解決と未来への投資~未来へつなぐ持続可能なまちづくり~」をキーフレーズとし、ワクチン接種の着実な進展、課題解決の実践、市内経済の活性化、生活基盤の整備及び子育て支援など、市民生活の安定と向上に資する施策の充実を図るとしたものであります。
これは、課題解決を実践し、子育て支援や企業誘致などの未来への投資により、市民生活の安定と向上を図ることを表したものでありまして、第6次総合計画に掲げる「こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまちづくり」の実現にも合致するものと考えております。
予算編成に当たっては、コスト意識を持って、事業の緊急性、必要性、優先度、熟度等を精査した上で、「選択と集中」により、事業の重点化を図るものとします。
また、社会情勢の変化、高度化する市民ニーズ等に柔軟かつ弾力的に対応できるよう行財政改革を推し進めるとともに、市の重点施策として、「保健・医療・福祉」(ふれ合いと支え合いの健やかなまちづくり)、「自然環境・生活環境」(人と自然にやさしい持続可能なまちづくり)、「教育・文化(未来を担うたくましいひとづくり・まちづくり)、「都市基盤」(歴史・文化が息づく自然ゆたかなまちづくり)、「地域経済」(ブランド力と交流による元気創生のまちづくり)、「構想の推進」(市民協働のまちづくり)の6項目を柱に予算の重点配分を行うとともに、市民との連携・協働の下、こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまちづくりに取り組むものとしています。
《予算の規模と概要》
令和5年度一般会計予算の規模は、歳入歳出それぞれ220億5,376万8,000円で、前年度当初予算と比較して1億163万1,000円、0.5パーセントの増であります。
また、一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた総体の予算規模は、381億1,241万6,000円で、前年度と比較して2億1,078万円、0.6パーセントの増であります。
一般会計につきましては、厳しい財政状況の中、経費節減により経常経費の抑制を図りながら地域事情及び市民ニーズなどの行政需要に対応するため、予算編成方針に基づき、優先すべき主要事務事業等を中心に、市民生活の更なる充実・向上に向けて必要な施策に重点を置き、予算の計上に努めたものであります。
《主要施策》
それでは、令和5年度予算の6つの重点施策に沿って、主要事業についてご説明申し上げます。
1つ目の柱である「保健・医療・福祉(ふれ合いと支え合いの健やかなまちづくり)」につきましては、子どもから高齢者まで全ての市民が、生涯にわたり健康で、生きがいを感じながら幸せに暮らせるまちづくりを進めてまいります。
主な事業としましては、就労支援や教育、保育、地域の子ども・子育て支援の充実を図る「民間保育所運営委託事業」及び「民間教育・保育施設給付事業」、放課後や学校休業日に安全安心に過ごせる環境を整備するため「放課後児童健全育成事業」、子ども医療費の対象を高校卒業まで拡充する「福祉医療費」、市民の健康を守るとともに、感染症のまん延防止を図る「予防接種事業」、全ての妊婦や子育て家庭が安心して出産・子育てができるよう「出産・子育て応援交付金事業」、がんの早期発見・早期治療に努め、市民の健康保持・増進を図る「がん検診事業」などに取り組みます。
2つ目の柱である「自然環境・生活環境(人と自然にやさしい持続可能なまちづくり)」につきましては、本市が有する豊富な自然の魅力を維持・継承するとともに、環境に優しく、こころ豊かに暮らせる、生活環境の整ったまちづくりを進めてまいります。
主な事業としましては、安心安全なまちづくりを推進するため「防犯対策事業」、地域住民が参加する地域防災訓練を実施し、防災施策の推進を図る「ひとを守る・まちを守る防災ぬまた推進事業」、公共施設等総合管理計画に基づく公共施設の更新・統廃合など、各種ファシリティマネジメント施策を推進する「ファシリティマネジメント推進事業」、利根沼田地域における一般廃棄物の処理広域化、施設の集約化を図る「ごみ処理広域化事業」、ごみの減量化と資源の有効活用を図る「ごみ減量化対策事業」、森林環境譲与税を活用し、森林経営管理制度を円滑に活用し、適切な森林整備を行う「森林整備事業」、生活環境の向上並びに公共用水域の水質保全を図る「合併処理浄化槽設置整備事業」などに取り組みます。
3つ目の柱である「教育・文化(未来を担うたくましいひとづくり・まちづくり)」につきましては、生涯にわたる学びを通して、心身ともに健康で活力ある人づくりを推進するとともに、市民の誰もが、いつでも、どこでも、気軽にスポーツに親しむことができる活動を推進します。
主な事業としましては、小中学生の教育環境の整備を図る「小学校管理費/中学校管理費」、学校給食を実施し、中学3年生の給食費を無償化する「沼田給食センター給食費」、児童・生徒が学校生活を円滑に過ごせるよう支援する「学校教育支援事業」、国際性豊かで友好親善に努める生徒の育成を図る「沼田市中学校国際交流事業」、文化祭や伝統芸能発表会などを実施する芸術文化団体への補助を行い、市民の生涯学習の推進を図る「市民文化活動推進事業」、横塚工場適地の産業団地整備に伴い、埋蔵文化財発掘調査を行うため「横塚工場適地発掘調査事業」、市内遺跡発掘調査の拠点として、文化財資料の整理・保存を行い、地域の歴史文化の継承を図る「埋蔵文化財調査センター管理事業」などに取り組みます。
4つ目の柱である「都市基盤(歴史・文化が息づく自然ゆたかなまちづくり)」につきましては、魅力ある都市空間の形成や快適な住環境の整備を図るとともに、利便性の高い公共交通の実現を図り、広域的な生活を支える都市基盤を整えます。
主な事業としましては、地域公共交通としてAIデマンドバスを運行し、沿線地域の高齢者や年少者等の交通手段を確保、住民福祉の向上を図る「市町村乗合バス運行事業」、道路インフラの維持管理をし、通行の安全性の確保や利便性の向上を図る「道路補修事業」、道路施設の定期点検を行い、長期的な安全性・利便性の確保を図る「道路施設点検事業」、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、老朽化箇所や損傷箇所等の補修・修繕を行う「橋りょう補修事業」、大原団地の外壁等の改修工事を行い、居住環境の向上を図る「市営住宅長寿命化改善事業」、長期的な立地誘導によりコンパクトで利便性の高いまちづくりを推進する立地適正化計画の策定をする「都市構造再編 集中支援事業」、都市基盤の整備と沿線の土地利用の有効活用を図る「3・3・1環状線(栄町工区)事業」、活気に満ちた中心市街地づくりを進めるための「中心市街地土地区画整理事業」などに取り組みます。
5つ目の柱である「地域経済(ブランド力と交流による元気創生のまちづくり)」につきましては、地域資源を活かした農林水産業の振興と商工業の振興により雇用の安定を図るとともに、本市の魅力ある資源を活かした観光振興に取り組みます。
主な事業としましては、市内経済の活性化、キャッシュレス決済の普及、接触機会減少に伴う新型コロナウイルス感染リスク軽減を図る「電子地域通貨事業」、本市への工業立地を促す「企業誘致推進事業」、市内におけるサテライトオフィスの設置等の促進を図る「サテライトオフィス等誘致事業」、被害防除、捕獲、生息域の環境整備等を中心とした総合対策を行い、被害軽減を図る「鳥獣対策事業」、スマート農業の導入や、意欲のある担い手の育成、新たな担い手の確保、経営体への支援・育成をする「担い手支援事業」、観光誘客を図るため「観光宣伝事業」、移住促進と関係人口の増加等を図るため「地域おこし協力隊設置事業」などに取り組みます。
6つ目の柱である「構想の推進(市民協働のまちづくり)」につきましては、市民と行政が互いに信頼関係を築き、対話とふれあいを大切にすることを基本に、広域行政や人材育成など、行政経営の効率化や高度化を図ります。
主な事業としましては、市民と行政をつなぎ、行政サービスの向上を図る「広報ぬまた発行事業」、沼田市の特産品等を全国にPRするとともに、まちづくりに活用するため「水と緑の大地ふるさとぬまた寄附事業」、区長会の運営補助など、住民自治意識の向上とコミュニティ活動の振興を図る「住民自治振興事業」、市民活動を育成・支援する「市民活動センター管理運営事業」、安心して住める地域の仕組みづくりを支援する「地域自治推進事業」、地域の課題解決や特色を生かした地域づくりを進める「コミュニティセンター事業」、農業農村の有する多面的機能の確保を図る「多面的機能発揮促進事業」などに取り組みます。
これら、6つの重点施策を柱に、市民との連携・協働の下、「こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまちづくり」に取り組んでまいりたいと考えております。
《むすびに》
令和5年度予算につきましては、厳しい財政状況ではありますが、「課題解決と未来への投資~未来につなぐ持続可能なまちづくり~」として、中学3年生の給食費無償化や帯状疱疹ワクチン接種、福祉医療費の高校卒業までの拡充をはじめ、企業誘致に向けた横塚工場適地発掘調査事業などの新規事業を盛り込み、市町村乗合バス運行事業や3・3・1環状線(栄町工区)事業、中心市街地土地区画整理事業、地域自治推進事業、浄水施設改良事業などの優先主要事務事業も引き続き取り組み、そのほかにも、GX推進として森林整備事業、DX推進としてサテライトオフィス等誘致事業など、円滑な市民生活の実現に向けた事業に積極的に取り組んでまいります。
市長就任時の施政方針において、申し述べさせていただいておりますが、市政は、市民の幸せのため、市民と向き合い、市民と行政がひとつになり、政策を推進し、次世代のため、市民の未来のため、市民誰もが幸せと思える沼田市を目指して、責任ある政策を進めなければなりません。
令和5年度予算は、編成に当たり、私が市長として取り組んだ初めての予算であります。沼田市の抱える行政課題の多さと難しさ、これに比べた財政事情の厳しさを強く心に感じました。
今年度全てに対応するには至りませんでしたが、市民との対話の機会をつくり、市民の声を聞きながら市政運営を進めており、自分たちの地域の課題を自分たちで考え、深い結びつきや信頼のもとに連携する「地域主体のまちづくり」など、一歩ずつではありますが着実に進めております。
予測の難しい時代にあって、市民は何を必要とし、何を求めるのか。そして、行政は何をしなければならないのか。あらゆる問題には、緊張感を持って迅速な対応をすることにより、市政の諸課題に対して、職員一丸となり、真摯に対応してまいります。そして、森林文化都市である沼田市の限りない可能性も探ってまいりたいと考えております。
これからも、市民並びに議員の皆様とともに力を合わせて、全力で市政運営に取り組んでまいる所存でありますので、議員皆様の力強いご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げまして、新年度予算の方針と内容説明といたします。
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