施政方針(令和6年3月)
《はじめに》
令和4年5月に市長に就任して以来、本市が人口減少に伴う少子高齢化対策や雇用の確保、市政運営に必要な財源確保、浄水場やゴミ処理施設などの社会インフラの更新など、本市が抱える様々な課題と向き合いながら、私の市政執行の基本理念である「市民が主役・対話の市政」により「持続可能な沼田市」を目指し、市民と行政が一体となり行政運営を進めてまいりました。
昨年は、不安定な国際情勢による原油価格や、物価の高騰が重なり、市民生活や経済活動におきましては、大変厳しい状況となりました。
一方では、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に引き下げられ、4年ぶりの開催となる沼田まつりをはじめ、各種行事や大会が復活するなど、市民の生活や社会活動は少しずつ日常を取り戻してまいりました。
市政運営におきましては、市内経済を下支えし活性化を促す電子地域通貨「tengoo(てんぐー)」の積極的導入や、沼田横塚産業団地への企業誘致実現に向けた準備を進めてきたところであります。
また、本年は、市制施行70周年・水道事業100周年を迎える記念すべき年であります。子育て世代の負担軽減を図るための給食費完全無償化や、市内在住高校生の通学定期券購入補助金をはじめ、行政組織機構改革により、地域支援機能の充実を図るための白沢地区・利根地区コミュニティセンターの整備などの新設、情報伝達システムを導入し、災害予防及び災害応急対策のための防災管理事業や、沼田横塚産業団地に企業誘致実現のための企業誘致推進事業、地域経済の循環や活性化を図るための電子地域通貨事業に取り組むとともに、地域主体のまちづくりを進めるための地域自治推進事業や、浄水場改築更新事業などの優先事業、子育て世帯への支援、市民の生活や健康増進、地域経済の活性化などの事業についても、十分配意したところであります。
令和6年度においても、「こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまち」の実現に努めるとともに、「課題解決と未来への投資~活力ある沼田の創造~」を念頭に、対策事業の充実を図ってまいりたいと考えております。
《国、県の状況》
さて、令和6年度の国の予算は、昨年12月22日に閣議決定され、今国会で審議中であります。国はその予算編成の基本方針において、日本の経済は、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進み、緩やかに回復している一方で、世界的な物価高騰とそれに対応する各国金融引締めによる海外景気の下振れリスクがあるとし、こうしたリスクに万全の対応を図りつつ、持続的な成長と配分の好循環を実現し、新たな経済成長の軌道に乗せていくとしております。
また、予算編成に当たっては、構造的な賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、少子対策・子ども政策の抜本強化を含めた新しい資本主義の加速をはじめとした、重要政策課題に必要な予算措置を講じるとしております。
群馬県においては、「幸福実感・新群馬実現予算」と銘打ち、「県民の幸福度向上」、「新群馬の創造」、「群馬モデルの発信」、「財政の健全性の確保」の4つを重点施策に掲げ、総額7,816億円、対前年度比4.6パーセント減額の一般会計当初予算案を議会へ提出したところであります。
《予算の基本方針》
こうしたことを踏まえ、本市の令和6年度予算編成に当たりましては、厳しい財政状況ではありますが、今後の円滑な市民生活を実現するため、「課題解決と未来への投資 ~活力ある沼田の創造~」をキーフレーズとして、将来への責任を果たすために創意と工夫により課題解決の実践、市内経済の活性化、生活基盤の整備及び子育て支援等の未来への投資など、市民生活の安定と向上に資する各種施策の充実を図ることを表したものであり、第六次総合計画に掲げる「こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまちづくり」の実現にも合致するものと考えております。
予算編成に当たっては、コスト意識を持って、事業の緊急性、必要性、優先度、熟度等を精査した上で、「選択と集中」により、事業の重点化を図るものとします。
また、社会情勢の変化、高度化する市民ニーズ等に柔軟かつ弾力的に対応できるよう行財政改革を強力に推し進めるとともに、第六次総合計画の施策の6項目の重点施策である、「保健・医療・福祉」(ふれ合いと支え合いの健やかなまちづくり)、「自然環境・生活環境」(人と自然にやさしい持続可能なまちづくり)、「教育・文化(未来を担うたくましいひとづくり・まちづくり)、「都市基盤」(歴史・文化が息づく自然ゆたかなまちづくり)、「地域経済」(ブランド力と交流による元気創生のまちづくり)、「構想の推進」(市民協働のまちづくり)の6つを柱に予算の重点配分を行うとともに、市民との連携・協働の下、こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまちづくりに取り組むものとしています。
《予算の規模と概要》
令和6年度一般会計予算の規模は、歳入歳出それぞれ221億5,700万円で、前年度当初予算と比較して1億323万2,000円、0.5パーセントの増であります。
また、一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた総体の予算規模は、381億3,337万1,000円で、前年度と比較して2,095万5,000円、0.1パーセントの増であります。
一般会計につきましては、厳しい財政状況の中、経費節減により経常経費の抑制を図りながら、地域事情及び市民ニーズなどの行政需要に対応するため、予算編成方針に基づき、優先すべき主要事務事業等を中心に、市民生活の更なる充実・向上に向けて必要な施策に重点を置き、予算の計上に努めたものであります。
《主要施策》
それでは、令和6年度予算の6つの重点施策に沿って、主要事業について、ご説明申し上げます。
1つ目の柱である「保健・医療・福祉(ふれ合いと支え合いの健やかなまちづくり)」につきましては、子どもから高齢者まで全ての市民が、生涯にわたり健康で、生きがいを感じながら幸せに暮らせる街づくりを進めてまいります。
主な事業としましては、放課後や学校休業日に安全安心に過ごせる環境を整備し、児童の健全育成を図る「放課後児童健全育成事業」、子ども医療費の対象を高校卒業まで拡充する「福祉医療費」、市民の健康を守るとともに、感染症のまん延防止を図る「予防接種事業」などに取り組みます。
2つ目の柱である「自然環境・生活環境(人と自然にやさしい持続可能なまちづくり)」につきましては、本市が有する豊富な自然の魅力を維持・継承するとともに、環境に優しく、こころ豊かに暮らせる、生活環境の整った街づくりを進めてまいります。
主な事業としましては、安心安全なまちづくりを推進するため「防犯灯更新事業」、防災体制の充実を図るための資機材等の整備と携帯電話網、電話による情報伝達システムを導入し、災害予防及び災害応急対策に万全を期す「防災管理事業」、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの促進等により、市の温室ガスの排出抑制等を進める「再生可能エネルギー利用促進事業」、ごみの減量化と資源の有効活用を図る「ごみ減量化対策事業」、森林環境譲与税を活用し、森林経営管理制度を円滑に活用し、適切な森林整備を行う「森林整備事業」、生活環境の向上並びに公共用水域の水質保全を図る「合併処理浄化槽設置整備事業」などに取り組みます。
3つ目の柱である「教育・文化(未来を担うたくましいひとづくり・まちづくり)」につきましては、生涯にわたる学びを通して、心身ともに健康で活力ある人づくりを推進するとともに、市民の誰もが、いつでも、どこでも、気軽にスポーツに親しむことができる活動を推進します。
主な事業としましては、学校給食を実施し、給食費を無償化する「沼田給食センター給食費」、児童・生徒が学校生活を円滑に過ごせるよう支援する「学校教育支援事業」、市民文化の推進と地域の文化活動の振興を図る「市民文化活動推進事業」、沼田横塚産業団地の整備に伴い、埋蔵文化財発掘調査を行う「沼田横塚産業団地発掘調査事業」などに取り組みます。
4つ目の柱である「都市基盤(歴史・文化が息づく自然ゆたかなまちづくり)」につきましては、魅力ある都市空間の形成や快適な住環境の整備を図るとともに、利便性の高い公共交通の実現を図り、広域的な生活を支える都市基盤を整えます。
主な事業としましては、地域公共交通として路線バス及びAI(エーアイ)デマンドバスを運行することにより、沿線地域の高齢者や年少者等の交通手段を確保し、住民福祉の向上を図る「市町村乗合バス運行事業」、道路施設の定期点検を行い、長期的な安全性・利便性の確保を図る「道路施設点検事業」、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、老朽化箇所や損傷箇所等の補修・修繕を行う「橋りょう補修事業」、都市基盤の整備と沿線の土地利用の有効活用を図る「3・3・1環状線(栄町工区)事業」、都市公園施設長寿命化計画に基づく老朽施設の更新と整備率の向上を図る「都市公園整備事業」、活気に満ちた中心市街地づくりを進めるための「中心市街地土地区画整理事業」などに取り組みます。
5つ目の柱である「地域経済(ブランド力と交流による元気創生のまちづくり)」につきましては、地域資源を活かした農林水産業の振興と商工業の振興により雇用の安定を図るとともに、本市の魅力ある資源を活かした観光振興に取り組みます。
主な事業としましては、市内経済の活性化、キャッシュレス決済の普及を図る「電子地域通貨事業」、本市への工業立地を促す「企業誘致推進事業」、被害防除、捕獲、生息域の環境整備等を中心とした総合対策を行い、被害軽減を図る「鳥獣対策事業」、観光誘客を図るため「観光宣伝事業」、移住促進と関係人口の増加等を図るため「地域おこし協力隊設置事業」などに取り組みます。
6つ目の柱である「構想の推進(市民協働のまちづくり)」につきましては、市民と行政が互いに信頼関係を築き、対話とふれあいを大切にすることを基本に、広域行政や人材育成など、行政経営の効率化や高度化を図ります。
主な事業としましては、市民と行政をつなぎ、行政サービスの向上を図る「広報ぬまた発行事業」、沼田市の特産品等を全国にPRするとともに、まちづくりに活用する「水と緑の大地ふるさとぬまた寄附事業」、区長会の運営補助など、住民自治意識の向上とコミュニティ活動の振興を図る「住民自治振興事業」、安心して住める地域の仕組みづくりを支援し、地域自治を推進する「地域自治推進事業」、農業農村の有する多面的機能の確保を図る「多面的機能発揮促進事業」などに取り組みます。
これら、6つの重点施策を柱に、市民との連携・協働の下、「こころ豊かに暮らし、しあわせを実感できるまちづくり」に取り組んでまいりたいと考えております。
《むすびに》
令和6年度予算につきましては、厳しい財政状況ではありますが、「課題解決と未来への投資~活力ある沼田の創造~」として、給食費完全無償化をはじめ、通学定期券購入補助や農業経営収入保険加入促進事業補助などの新規事業を盛り込み、市町村乗合バス運行事業や3・3・1環状線(栄町工区)事業、中心市街地土地区画整理事業、浄水場改築更新事業などの優先主要事務事業も引き続き実施するなど、円滑な市民生活の実現に向けた事業に積極的に取り組んでまいります。
就任以来、私の変わらぬ思いは、「市民の幸せのため」にであります。そのために、市民と向き合い、市民と行政が一体となり、未来を担う次世代のために、誰もが幸せと思える沼田市を目指して、責任ある政策を推進してまいります。
令和6年度予算の編成に当たり、沼田市の抱える行政課題の多さと財政事情の厳しさを痛感しております。今年度も全てに対応するには至りませんでしたが、市民との対話の機会をつくり市民の声を聞きながら市政運営を進めており、自分たちの地域の課題を自分たちで考え、深い結び付きや信頼のもとに連携する「地域主体のまちづくり」は、まさに市民と共に歩む未来への道標であり、一歩ずつではありますが、着実に進めてまいりたいと考えております。
予測困難な時代だからこそ、行政は常に緊張感を持って迅速な対応が必要となりますので、市政の諸課題に対しましては、職員一丸となって真摯に対応し、森林文化都市・沼田市の限りない可能性を探究してまいります。
今後も、市民並びに議員の皆様とともに力を合わせて、全力で市政運営に取り組んでまいる所存でありますので、皆様の力強いご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げまして、新年度予算の方針と内容説明とさせていただきます。
ご意見をお聞かせください
このページに関するお問い合わせ
総務部 秘書課 秘書係
〒378-8501 群馬県沼田市下之町888番地
電話:0278-23-2111(代表) ファクス:0278-24-5179
お問い合わせは専用フォームをご利用ください