平成28年度沼田城跡発掘調査紹介
ページ番号1006233
更新日
令和4年4月28日
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平成28年度の沼田城跡発掘調査についてご紹介します。平成28年度の発掘調査は沼田公園にて7月から9月にかけて行いました。なお、発掘調査区は現地説明会終了後、保存のため埋め戻していますので、現地で写真と同じ様子は見ることができません。
平成28年度の発掘調査は天守があったとされる付近を調査しました。沼田公園内の北側、旧生方家住宅の西側にあたります。写真は本丸堀の調査状況です。上部は階段状に掘られています。
裏込石(うらごめいし)の出土状況です。裏込石は水はけを良くし、石垣に圧がかかり崩落するのを防ぐ役割があります。
天守付近の本丸堀は、自然の地形も利用しています。関東ローム層よりも下には沼田礫層と呼ばれる地層があり、この深さまで人の手が及んでいることが分かりました。なお、天守付近の石垣(堀)は高さ(深さ)6間(約16メートル)という江戸時代の記録があります。発掘調査でも10メートル以上の深さまで調査しましたが、調査区が狭く危険なため、堀の底を発見することができないまま調査は終了しました。しかし、このことは江戸時代の記録の信憑性が高いことを示すといえます。
本丸堀からは大量の瓦が出土しています。コンテナで約150箱ほどになります。これだけの瓦が出土したため、付近に建物(天守か)があった可能性が非常に高いと考えられます。江戸時代の文書である沼田城破却記には、「天守は三日で崩した」とあるなど急いで破却したことがうかがえます。そのため、堀の中へ崩された大量の瓦が残っているとも考えられます。
本丸堀からは金箔らしきものが何点も出土しています。これについては分析調査を行い金属の特定等を科学的に行います。
調査の状況です。白色状の土の中に大量の瓦が出土しています。
瓦の葺き方の参考例です。時代は異なりますが、瓦の下に粘土が葺かれています。発掘現場で確認された白色状の土は、葺土(ふきつち)の可能性もあります。なお、この模型は旧沼田貯蓄銀行にて公開しております(沼田市上之町1155-1)。
本丸堀の上部にあたる平坦面の調査状況です。天守付近と推定されておりましたが、今回の調査では建物の明確な痕跡は見つかりませんでした。
調査区の南端で石が集まっている状況を確認しました。
石が組まれた遺構を検出しました。この遺構の性格は詳細が分かりませんが、東吾妻町の岩櫃城でも類似するものが見つかっており、この遺構については今後の調査研究の課題の一つになると思われます。
平成28年11月13日に現地説明会を開催しました。多くの方々にご来場いただきました。なお、発掘調査区は現在、保存のため埋め戻しされていますので、現地で写真と同じ様子を見ることはできません。
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